米焼酎のメローコヅルエクセレンスは樫樽に詰めて長期間貯槽・熟成した焼酎で、そのためほんのりと琥珀色になっていました。アルコール度数が41度と高く、甘味と香りの強さが印象的でした。
米焼酎の意外な誕生秘話
米焼酎は米のみで作られており、シンプルに考えれば日本酒を蒸留させたものが米焼酎ということになります。
米はもちろん日本人の主食ですが、しれだけではなく日本経済を支える存在でもありました。江戸時代までは「加賀百万石」というように国の大きさを米の収穫量で格付けし、武士の給料も米でした。また戦後の食糧難の時代には食べる米さえ不足したという時期もあります。
日本人にとってはそれだけ米は特別な存在で、その米で焼酎を造るというのは本来ならありえないことだったと言ってもよいでしょう。焼酎は貯蔵・熟成が必要ですから仕込んでから商品になるまで長い時間がかかるため、大切な米を使って作るということは贅沢すぎることだったのです。
米焼酎は江戸時代に熊本県人吉地方で誕生したといわれています。この人吉盆地が非常に米の豊富に採れる地域で、公称2万2千石という石高でありながらこれに加えて10万石を越える隠し田があったといいます。これだけ米に余裕がれば焼酎造りにまわすことも可能です。それに加えて戦国後期に蒸留術が九州に伝わっており、それによって米による焼酎造りが可能になりました。
日本初の長期熟成米焼酎
メローコヅルエクセレンスは鹿児島県の小正酒造が製造販売する日本で初めての長期熟成米焼酎で、樫樽にいれた原酒を気象条件に左右されにくい半地下構造の貯蔵庫で熟成させています。
焼酎は貯蔵・熟成が必要といっても3年も寝かせれば古酒と呼ばれ、ウィスキーに代表される世界の蒸留酒の中では熟成期間としてはかなり短い部類に入ります。そんな中で「世界の名だたる蒸留酒が貯蔵熟成されているように、日本の蒸留酒である米焼酎も貯蔵熟成すれば必ずうまくなる」という二代目社長の信念で誕生したのがメローコヅルエクセレンスです。
戦後まだ間もない昭和26年に誕生した原酒が熟成の後に世に出たのが6年後の昭和32年で、製法は現在もほとんど変わっていないということなので現在も6年物だと思われます。
甘さとアルコールの刺激の強さが印象的だった
ストレート
アルコール度数が41度と高めで、樽で貯蔵しているためほんのり琥珀色となっていました。「いいちこ」の記事で「セメダインの香り」という表現を使いましたが(悪い意味ではない)、メローコヅルエクセレンスもセメダインの香りが目立ちます。甘みとアルコールの刺激の強さが印象的でした・
ロック
口当たりが良くなり、アルコールの刺激が若干滑らかになりました。それによってストレートよりも甘さがよくわかりようになったと思います。
トワイスアップ(1対1で氷を入れない水割り)
ほんわりとした甘さを感じますが、強さも十分に残っています。
ハーフロック(1対1で氷を入れる水割り)
ここまでくるとかなり柔らかい味わいとなり、上質の砂糖水のように感じました。
お湯割り
お湯で割ることによりすべてが活性化し、ストレートの時に感じた甘いセメダインの香りがさらに強くなりました。