ウォッカにトマトジュースを加えたブラディー・メアリーは20世紀初頭に誕生したカクテルで、プロテスタントを徹底的に弾圧して恐れられた英国女王の名前にちなんでいます。飲んでみると草っぽいほろ苦さが印象的で、スイスイと飲めました。
20世紀初頭に誕生した知名度の高いカクテル
ブラディー・メアリーはベースであるウォッカにトマトジュースを加えたカクテルで、その名は酒飲み以外にも広く知られているのではないかと思われます。
サントリーのHPでは「1921年にパリ、『ニューヨークズ・バー』(1923年に『ハリーズ・ニューヨーク・バー』)で誕生したといわれている。」と紹介されています。しかし当時こちらで働いていたフェルナン・プティオが生前のインタビューに対して「ジョージ・ジェッセルという俳優がウォッカとトマトジュースを混ぜるレシピを1939年に作り、その後ジェッセルから教わり、現代的なブラッディ・メアリーを作ったのは自分だ」と答えているようで、由来については依然として諸説あるようです。
トマトには酒を飲むことにより失われるビタミンとミネラルがたっぷり含まれており、また果糖はアルコールの分解をアシストしてくれます。さらにトマトのアミノ酸がアルコール分解酵素のはたらきをよくすることもわかってきました。
そのためイギリスではブラディー・メアリーは二日酔いの迎え酒として、酒を飲んだ翌日に飲まれているといいます。
イングランド女王メアリー1世に由来する名前
「血まみれのメアリー」という刺激的な名前は16世紀のイングランド女王メアリー1世に由来すると言われています。
国王ヘンリー8世とキャサリン・オブ・アラゴンとの間で1516年に生まれたメアリーは当初は世継ぎとみなされます。しかし男の子を熱望するヘンリー8世はローマ・カトリック教会から分離して英国国教会を打ち立てて母キャサリンと離婚してしまい(ローマ教皇は離婚を認めなかった。)、それによりメアリーは世継ぎの地位ばかりか王女の身位までが剥奪されて単なる庶子とされました。
その後すったもんだの末にメアリーは女王として即位しますが、母キャサリンによって敬虔なカトリックに育てられていたこともあって父の進めていた宗教改革を覆し、即位後に300人にも及ぶプロテスタントの指導者を処刑します。これによりメアリーは「血まみれメアリー」(Bloody Mary) と呼ばれて人々から恐れられました。
20世紀になって新しいカクテルが誕生した際、トマトジュースの色と粘性を血液にみたてて「ブラディー・メアリー」の名が付いたといわれています。
また、禁酒法時代のアメリカのもぐりの酒場で盛んに飲まれていた「ブラディ・サム(トマトジュースにジンを混ぜたカクテル)」に由来するという説もあります。
正式にこの名が決まったのが1946年で、ヘミングウェイがその名を広めたといいます。
ブラディー・メアリーのレシピと作り方
ブラディー・メアリーには様々なバリエーションがあり、店によって、バーテンダーによって全く違う作り方になるといいます。今回はいろいろ調べたうえで最もわかりやすいレシピを採用しました。
今回使用したブラディー・メアリーの材料です。ウォッカは冷凍庫で、トマトジュースは冷蔵庫でしっかりと冷やしておきました。
グラスに大きめの氷を入れます。
ウォッカを45ml.トマトジュースを90ml注ぎ、レモンを絞ります。
しっかりとステアしました。
ブラディー・メアリーの完成です。
草っぽいほろ苦さが印象的だった
飲んでみると草っぽいほろ苦さが若干加わったトマトジュースという印象で、スイスイと飲めました。まさに「酔っぱらえるトマトジュース」だったと思います。トマトジュースとウォッカが同量だと苦くて青汁を飲んでいるような味となったため、上記の分量がちょうどいいのではないでしょうか。