スコッチウィスキーのヘッジス&バトラー(H&B)は5通りの飲み方で評価してみると荒々しさと脆さが同居したような酒でした。3年物の原酒をブレンドした驚きのスコッチです。
350年の歴史を持つ英国王室御用達のヘッジス&バトラー社
ヘッジス&バトラー社は1667年にロンドンに設立されたワイン商店が起源となっており、それ以来約350年という歴史をもっています。
ウィスキー事業に参入したのは当時国王であったチャールズ2世の命によるもので、それ以降ウイリアム4世やヴィクトリア女王など代々の王室に献上され、英国王室御用達である事を証するためラベル中央に『ROYAL』と大きく書かれています。
ヘッジス&バトラー社は英国以外でも王室と縁が深く、1886年にスペイン、1908年にはポルトガルで王室御用達となり、さらに明治38年には明治天皇にも献上されました。
「世界一若いスコッチ」といってもいいかもしれない
ヘッジス&バトラーには5つのグレードがあり、スタンダードものはデラックス、その上の8年ものはスペシャル・デラックス、12年ものはファイネスト・デラックス、15年ものはシュープリーム・デラックス、21年ものはインペリアル・デラックスと呼ばれています。
英国王室御用達といってもスタンダードものは税込み1000円前後で入手できるほどリーズナブルで、逆の意味で買うのに勇気が必要です。
輸入している三菱食品のサイトでは「3年物程度をブレンドし、マイルドな味わいに仕上げています」と書かれていますが、3年というのはスコッチウィスキーを名乗ることができるギリギリの年数で、正確には「ヘッジス&バトラー3年」ということになります。これだけ若い年数はバーボンではよく見ますがスコッチでは初めてで、「世界一若い」といってもいいかもしれません。
いずれにせよ若くて荒々しい酒であることは想像がつきます。
ストレート
トロリとした舌触りが印象的です。荒々しく、角のあるとんがった甘さが強烈で、飲み込むと喉が熱くなります。度数は40度と普通であるにもかかわらず、口の中にアルコールの刺激が一気に広がります。
ロック
氷を入れると若干丸く滑らかにはなりましたが、それでもとてもロックとは思えないような荒々しさが残っています。たいていの酒はロックにするとさらさらになるのですが、ヘッジス&バトラーはロックでもトロリとしています。
水割り
次いで水で割ります。合わせる水はヴォルヴィックです。
トワイスアップ(1対1で氷を入れない)
水を加えると腰砕けといってもよいくらい一気に柔らかくなり、とんがったところが全くなくなりました。柔らかくなることで程よい味わいになったというのではなく、個性が消えてしまったように思います。
ハーフロック(1対1で氷を入れる)
荒々しさは完全に影を潜め、すっかり滑らかな味わいに変わってしまいました。ストレートの時とは全く別の酒のように感じます。
荒々しさと脆さが同居したまだまだ若い酒
ヘッジス&バトラーはそれなりのポテンシャルはあるのかもしれませんが、荒々しさと脆さが同居した「まだまだ若すぎる」酒ということになるのかもしれません。いずれにせよ税込みで1000円前後という極めてお手頃な価格で、ストレートかロックなら十分のありだと思います。
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