ストレートからハイボールまで試してみて、ローヤルは究極の「日本のウィスキー」であるように感じました。サントリーで長らく最高グレードに位置付けられていたウィスキーで、角瓶やオールドの味をとことん洗練させたような味わいでした。
かつては富裕層の贈答用の酒だった
ローヤルはサントリーの創業60周年を記念して昭和35年に発売されました。サントリーの創業者であり初代マスターブレンダーである鳥井信治郎は日本人が本当においしいと感じる味わいを求め続け、長年にわたるウィスキーづくりの過程で自身が培った香り・味・色の「黄金比」を体現化した最後にして最高の名作がローヤルとされています。
発売当時に最高級酒であったオールドよりも上のクラスであったことから途方もない値段がつき、一部の富裕層が主に贈答用として買うということが多かったようです。リビングの戸棚の中にある父のウィスキーを盗み飲みするところから私の酒歴はスタートしましたが、記憶をたどってみてもローヤルが置かれていたことはなかったと思います。
「山崎」や「響」の登場によりサントリーのラインナップの中では中堅どころとなり、また酒税法改正により以前よりも求めやすい価格になってはいますが、それでも超高級酒だった時代の名残をしっかりと残しています。
通常版ボトルとスリムボトルの違いとは
今回購入したのは660mlの「スリムボトル」ですが、通常版のローヤルのボトルは発売開始から現在までの約60年間ほとんど変化していません。
「高級酒」という雰囲気をプンプンさせているその形状は漢字の「酒」のつくりの部分である「酉」をかたどっています。この文字は毎年11月の「酉の市」で知られる十二支の十番目の「とり」で、同時に酒の壺や酒器をも意味します。また、微妙なカーブを描く栓は、山崎蒸溜所の奥にある神社の鳥居にちなんだものです。
開封するためにはナイフでスパッと紐を切らなければならず、こんなところでも高級酒を演出しています。(スリムボトルにはそこまでの演出はありません.)
ストレート
柔らかでまろやかな味と香りです。濃厚な味と香りが口の中で膨らみますが、それでいてスッキリとしています。「これぞ日本のウィスキー」とでもいうような味わいでした。
ロック
氷を入れることにより少し滑らかになったものの、それでも味は強めで甘さが感じられるようになりました。
水割り
次いで水で割ります。
トワイスアップ(1対1で氷を入れない水割り)
水を加えている時点で香りが漂ってきました。水を加えることにより味と香りが活性化したようであり、ストレートやロックよりもフルーティーさを感じることができるようになりましたが、それでいてストレートの時の強さはしっかりと残っています。
ハーフロック(1対1で氷を入れる水割り)
スッキリ爽やかな「これぞサントリーの水割り」というような味わいといなりました。
ハイボール
炭酸はサントリーのトニックウォーターを使用します。いろいろ試してみましたが、私にはこちらが最も合っているようです。
炭酸のほろ苦さがウィスキーに合っており、味に厚みが加わりました。シャキッとした部分もあり、ゴクゴク飲むことができます。酸味と甘みのバランスがいいと思いました。
究極の「日本のウィスキー」
メーカーに対する好き嫌いはいろいろあると思いますが、ウィスキー業界をここまでけん引してきたのがサントリーであることに異論はないと思います。
日本のウィスキーの味としてほとんどの人がイメージするのはイチローズモルトやAMAHAGANではなく、角瓶やオールドなのではないでしょうか。この典型的な「日本のウィスキーの味」を徹底的に洗練させたものがローヤルであるように感じられました。
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